 | 奥田のコラム(NO201) 2014年3月は悲喜こもごもの月でした | ( 2014/03/31 ) |         |  毎年3月の声を聞くと、これまでの私であれば、桜前線の開花と共に大いなるときめきを覚える筈なのに、何故か今年の3月は少しのときめきも湧かないばかりか、恒例のコラム書きさえも手につかないままの日々が過ぎるばかりでした。思い当る原因はどうやら下記のような出来事にあったのかもしれません。
(1)2013年3月11日は東日本大震災の3周年目に当たる日でした。もう3年にもなるのですから、かなりの復興の足音が聞こえてきてもいい筈と思っていたのに、新聞・TVから流れてくるニュースでは、被災地の人達の苦悩は深まるばかりのようで、本当に心が痛むのです。 東日本大震災では、死者と行方不明者を併せると18,000人余り、東京電力福島第一原発事故では260,000人余りの人達が、今も避難生活にあえいでいる事を私達は忘れてはならないと思うのです。
つい先日、とても悲しいニュースを知りました。福島から原発事故の影響で沖縄に引っ越してきた母娘が、放射能被爆者という中傷を浴びせられ、また福島に逆戻りを余儀なくされたという悲しいニュースです。¨情けの島¨を信条とするウチナンチューの志情は何時から消えてしまったのであろうかと本当に悲しかったのですが、これはごく一部の人であると私は沖縄に40年間住んでみて、そう確信するのです。人間から情心が無くなればもう人間では無い筈です。私はこの地球上に原発を存在させてはならないと思う人間であります。
(2)私達の住んでいる沖縄では、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設が、大多数の県民、市民の反対を無視して、日本政府と仲井間知事の間で進められています。美しい自然の海を埋め立る辺野古への基地建設には、100人を超える世界の著名な知識人の反対声明にもかかわらず、辺野古の海は政府と沖縄県警による100隻の舟にガードされながら、埋め立ての杭が打ち込まれる寸前のところにきているようです。
(3)前東京都知事の5000万円借入金問題は、どうやら罰金50万円の略式起訴で幕引きがされるようですが、ちょっと納得のいかない感もありますね。 新しく浮上したみんなの党代表の8億円の借入金問題には、一体どんな結論が下されるのでしょうか。政治家の裏の世界は、国民の幸せとはまるで無縁の闇の世界に包まれている事は確かの様です。
(4)NHK会長のあまりに常識を越えた言動にも目をそむけてはいけないと思います。会長職を引き受けて最初にとった行動は、全理事にサイン入りの白紙の辞表届を提出させたと言うのですから、放送独裁者と言われても仕方のない事でしょう。こんな独裁者に対抗する視聴者の取るべき行為は、NHKを視ない、聞かない、そのかわり受信料は払わない行動で一致団結する他はないのかも知れません。すでにそれを実行に移している人もいるとの事ですが、私は大好きなNHKがこれまでのように常識ある健全な姿で在り続けて欲しいと希望したいだけの事です。
(5)現代のベートーベンともてはやされていた佐村河内なる人物のウソ発覚と、新万能細胞STAPの発見を世界に発信した小保方晴子さんの論文が寄せ集めであった事が発覚した時は本当に失望させられました。この二人には一度死んだつもりで、もう一度人生の出直しをして、名誉の挽回を図ってもらいたいと切望します。
(6)沖縄の慶良間諸島が自然文化遺産に登録された事は、沖縄県民としては誠に嬉しい出来事です。 しかし大きな心配もあるのです。 数年前に世界遺産に登録されたセイファーウタキは、その直後から急激な観光化が進み、神聖と神秘をうたい文句にしていたウタキへの道はお土産品通りと化し、歴史の神秘さに手を合せる厳粛な雰囲気などは皆無に近い状況になっているとの事です。関係者の猛反省を胸に刻んで、貴重な慶良間の海の美しさに最大の心配りをしてもらいたいものです。
(7)海外に目を向けると、マレーシア航空機の行方不明事件にはただならぬ不思議を覚えないではいられません。人間の生命がこんなにも簡単に亡きものにされる事など、今の時代にあって断じて許されるものではありません。一日も早く世界に真実を発表し、乗員家族に罪の償いをしなければならないと思います。
(8)4月1日からの消費増税を前にして、日本中の主婦が右往左往して買いだめに走る姿には何かしら日本人の哀れを感じないではいられません。 私はこれを機に、増税になる分以上に買い物を控えて、質素を旨とした生活を目指そうと決意を新たにしております。
*2014年3月が終わろうとしていた直前、私は日本のスケート選手の大活躍に救われました。フィギヤ―世界選手権は羽生結弦選手(19歳)が、ソチ五輪の金メダルに続いて再び金メダルに輝きました。町田樹選手(23歳)はほんのわずかの差で2位になりましたが、スケートの歴史で日本選手が一位・二位の表彰台に立ったのは初めての事だそうです。この大会に高橋大輔選手の姿が見られなかったのは残念以上のものでした。
女子は浅田真央選手(23歳)が、本人も納得の演技で世界の頂点に返り咲きました。鈴木明子選手(29歳)のスケート人生最終と決めて臨んだ演技は実に見事で美しく感動を覚えました。今や日本のスケート界は世界一のスケート王国に成長した感があります。 お蔭様で、私の曇りがちだった3月の心は、きれいさっぱりと晴れ渡り、希望の4月に立ち向かえる心意気に変身する事が出来ました。沢山の感動を有難うございました。 (2014・3・30日の記) 写真上:震災3周年目を迎えた被災地への祈り 写真中:世界選手権で金メダルを取った浅田真央選手 写真下:世界選手権で競技生活最後の演技をする鈴木明子選手 (琉球新報社より) | |  |