| (No.67)沖縄伝統空手道世界大会 | ( 2009/08/24 ) | | 沖縄伝統空手道世界大会(2009/8/14〜8/16)
昨年の夏には、「世界武道祭」という名称で、剛柔流空手道世界大会が沖縄の地で開催され、世界中から集まった選手たちによる熱気に満ちた演技に魅せられたのでしたが(コラムNo.42に記載)、今年の夏は再びこの沖縄の地で、世界最大級ともいえる「沖縄伝統空手道世界大会」が催され、大きな感動とたくさんの学びをいただく事ができました。この大会を通して学ぶ事の出来た印象深い出来事を書き留めておこうと思います。
今年の世界大会が昨年の世界大会と大きく異なる点は、前者が沖縄伝統空手の一流派である剛柔流の世界大会であったのに対して、今回の大会は、大きくは4つの組織に分かれるという各流派が、今回始めて大同団結して一体となり、それぞれの沖縄伝統空手道の振興を計りつつも、全世界に沖縄こそが空手発祥の聖地である事を発信した、記念すべき大会であった事にあるようです。沖縄伝統空手は、今や世界150カ国に普及し、愛好者数は5,000万人にも上るとの事ですが、これこそはまさに、小さな南の島の沖縄が世界に誇れる最大級の文化遺産といっても過言ではないかもしれません。
沖縄伝統空手の歴史は、今からおよそ700年の昔にさかのぼるそうです。沖縄空手の先人達は、沖縄の豊かな自然と風土との共生の中から「空手」という、今や世界に誇れる伝統文化を創造してこられたのです。その後中国との永い交流の歴史から、中国武術が渡来し、それまで独自の道を歩んでいた沖縄空手は、中国武術の長所を積極的に採り入れ、現在に至る見事なW沖縄伝統空手道の花Wを咲かせる事になったのだそうです。
沖縄伝統空手道の真髄は、「空手に先手なし」(争いを仕掛けない)、「命(ぬち)どう宝」(命こそ最大の宝)という根本理念に有ると言われます。礼節を重んじ、自己鍛錬を旨とする、まさにW平和と人道の武術Wであるのです。上記の根本理念に加えて、言語、宗教、人権、体制などの壁をも越えられる、計り知れない魅力が沖縄伝統空手道には秘められているのです。武器否定と平和と人道主義を唱える思想故に、沖縄伝統空手道は沖縄が世界に誇れるW平和の使者Wと言えるのかも知れません。
沖縄県議会は2003年に、10月25日を「空手の日」と定める事を議決しております。目的は、平和を愛する空手の心で世界を一つに繋ごうという主旨によるものですが、10月25日である由来は、1936年10月25日に、当時の最高権威者と言われた沖縄空手の大家達が一堂に会して、この日から「空手」という名称に統一する事を決めたからだそうです。それまでは、空手のことは、「ティ」(TE)、「唐手」(TOTE)などと呼んでいたのだそうです。
今年の大会には海外から43カ国の872人を含めて、県内外から約6,000人の参加があったと新聞に報じられています。特筆すべきは、参加者の中に溢れるばかりの少年少女と、勇壮闊達なる女性軍団の姿が見られたことです。それに最も嬉しかった事は、4大流派を代表する4人のW拳聖Wと呼ばれる最長老(仲里周五郎範士(89歳)、伊波康進範士(83歳)、友寄隆宏範士(80歳)、湧川幸盛範士(80歳)の模範演技が披露されたことでもありました。めったに見ることができない出来事だそうです。 2009年の沖縄伝統空手道大会の開催を機に、沖縄の伝統空手が更なる世界への拡がりを見せて、沖縄と世界中の平和の輪が大きく拡がっていってくれる事を心から願わずにはいられません。沖縄伝統空手道万歳!!
*今回は[THE KARATE SHINBUN]からたくさんの教えをいただきました。
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