国連風景 国連風景 もしドイツ人が一家族ごとに持っているほどの車を、インド人もまた持つとしたらこの地球はどうなってしまうのでしょうか?? 貧しい人とは少ししかモノを持ってない人ではなく、もっともっとといくらあっても満足しない人のことです。 我々は発展するために生まれてきたのではありません。幸せに生きるために生まれてきたのです。 | ¨世界で一番貧しい大統領¨と言われる南米ウルグアイ元大統領の名前が、世界に知れ渡る事になったのは、2012年6月20日、リオデジャネイロで開催された国連会議でのスピーチによるものであったとの事です。 先頃、初来日されたのを機に、その時のスピーチの全貌を知る事となりましたので、少し長くなりますが、紹介させていただこうと思います。
<ホセ・ムヒカ大統領のスピーチ>
・ この場に出席されている世界各国の代表の皆さん、有難うございます。そして、大統領閣下に感謝します。これまでに発言された全ての方々が表明された誠意にも大いに感謝します。私も一国家指導者として、貧しい人々の取り決めづくりに仲間として、共々に参加する事を表明します。そして声高らかに質問する事をお許し願いたい。
・ 今日の午後ずっと、私達は「持続可能な発展」と「膨大な数の貧困者対策」を話し合ってきましたけれど、私達の本音は何でしょうか?。今の発展を続けることが本当に豊かなのでしょうか質問させて下さい。
・ もしドイツ人が一家族ごとに持っている程の車を、インド人もまた持つとしたら、この地球はどうなってしまうのでしょうか。もっとはっきり言いましょう。例えば最も裕福な西洋諸国と同じレベルで70億・80億の人々に消費が許されるとしたら、それを支えるだけの資源が今の世界にあるのでしょうか。それは可能なのでしょうか。
・ 今この文明を創ったのは私達です。私達は市場と競争社会から、文明と言う落とし子を生みだし、物質面での驚異的な進歩をもたらしました。そして市場経済は市場社会をつくりました。いわゆるグローバリズムです。 そのグローバリズムを私達はコントロール出来ていますか?。逆にコントロールされていないでしょうか?。こんな残酷な競争で成り立つ社会で、『みんなで社会をよくしていこう』なんて議論が本当に出来るのでしょうか?。私達は本当に仲間なのですか?。
・ 私は今回この会議を否定するために言っているのではありません。違います。逆です。我々が今挑戦しようとしている目の前の巨大な困難は、決して環境問題ではなく、明らかに政治問題なのです。人類は今消費社会をコントロール出来ていない。逆に人類の方がその強力な力に支配されているのです。
・ 我々は発展するためにこの地球上にやって来たのではありません。幸せになる為にやって来たのです。人生は短く、あっという間です。しかしその人生こそが何より価値があるものなのです。 余計なものを買う為に、もっともっと働いて、人生をすり減らしているのは、消費が社会の「モーター」になっているからです。何故なら、消費が止まれば経済が麻痺してしまい、経済が麻痺すれば不況と言うお化けが我々の目の前に姿を現します。しかし今、この行き過ぎた消費主義こそが、地球を傷つけ、更なる消費を促しています。
・ 商品の寿命を縮め、出来るだけ多くを売ろうとする今の会社は1000時間持つような電球は作らないのです。本当は10万時間、20万時間も持つ電球はあるのに、そんなものは作らない。「使い捨て文明」を支える悪循環の中にいるからです。これは絶対政治問題です。
・ 我々は今までとは違う文化の為に闘い始めなければならない。石器時代に戻ろうとは言っていません。このままずっと消費主義に支配される訳にはいかない。私達が消費をコントロールしなければならないと言っているのです。ですから私はこれが政治問題だと言いました。とても謙虚な思いからです。
・ かつての偉人達、エピクロスやセネカ、そしてアイマラ人たちは次のように言っています。『貧しい人々とは、少ししか物を持っていない人ではなく、もっともっと、いくらあっても満足しない人の事だ』と・・・・・ 大切なのは考え方です。だからこそ皆さんと共にこの会議に参加し、国家指導者の一人として皆さんと共に努力したいのです。
・ 私の発言は皆さんを怒らせるかも知れない。しかし気付かなくてはいけません。 ¨水問題¨や¨環境問題¨が事の本質ではないと言う事です。見直すべきは我々が築いてきた文明の在り方であり、我々の生き方です。
・ 何故そう思うのか。私は環境に恵まれた小さな国の代表です。人口は300万人程、いやもうちょっと320万人ほどかも知れません。けれども世界で最も美味しい牛が300万頭、また素晴らしい羊が800万から1000万頭、食べ物、乳製品、そして肉の輸出国です。国土の90%が有効に使えるほど豊かな国です。
・ だから、かつての私の仲間たちは8時間労働の為に闘い、ついには6時間労働を勝取った人もいます。しかしそうなったら今度は仕事を2つ持つようになりました。何故か?、沢山の支払いがあるからです。バイクやマイカーのローンを次から次へと支払っている内に、私の様なリュウマチ持ちの老人になって、人生が終わってしまいます。そして自分に問いかけるのです。それが私の一生だったのかと・・・・・。
・ 私が言っているのは基本的な事です。発展は幸せの邪魔をしてはならない。発展は「人類の幸せ」、「子育て」、「友達を持つ事」、そして「必要最低限のもので満足する」為にあるべきものなのです。なぜなら、それこそが一番大事な宝物なのだからです。環境の為に闘うのなら、一番大切なものは、人類の幸せである事を忘れてはなりません。 ありがとう。 2016年4月24日の記
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